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吉田に伝わる昔話

『下関昔話 吉田の巻』
という本に、吉田地方に伝わる山縣と高杉のエピソードが載っていました。

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 奇兵隊が、吉田に駐屯していた頃の話。

 軍監・山縣さんの日課は、馬術の稽古でした。
 山縣さんは乗馬が不得手で、しばしば落馬してしまうことを恥じて、吉田の領主山内家の家臣・山縣玄播というひとについて馬術を習い、上達に懸命でした。

 ある日、高杉東行さんが吉田へ巡回にやってきます。

 山縣さんは、「わしの乗馬姿をみてください」
 と高杉さんに言いました。

 高杉さんは、
 「きみの落馬姿を度々みてるので気がかりじゃったが、ええ先生について多少上達したじゃろうな・・・」
 と応じます。

 馬術の師匠である山縣玄播さんも誘って、みんなで蓮台寺まで遠乗をしました。
 山縣さんは先輩である高杉さんに馬術の稽古の報告をしたり、師匠である玄播に改めて礼を言ったりしていました。

 その帰り道、一行は肴屋に立ち寄り、一杯やることになりました。
 山縣さんは炊事場のおりんさんという女性に重箱を渡して、言いました。

 「蓮台寺の池でとった肴を入れておいたので、料理してくれ」

 重箱の蓋をあけて、おりんさんはびっくり。
 中に入っていたのは雨蛙でした。
 こんなことをするのは高杉さんに決まっている。そう思ったおりんさんは、怒って裏庭に飛び出しました。

 「おりんさん、あの重箱の雨蛙を、あれを今日は料理しておくれ」
 高杉さんは真剣に頼んでいましたが、おりんさんにはちっとも話が通じませんでした。

 上海帰りの高杉さんは、異人たちが蛙を食用しているというわさを知って、雨蛙を試しに食してみようと思っていたのです。
 そんなことは知る由もないおりんさんは、

 「御冗談ばかり。あれは背戸川に捨てました」

 こうして、蓮台寺池の雨蛙試食は、失敗に終わってしまったのでした。


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こんな感じで、妙にほのぼのするエピソードがいろいろと紹介されています。
ほかにも、山縣が馬丁に襲われそうになったけど日頃の馬術稽古のお陰で事なきをえた話とか、山内梅三郎が奇兵隊総督になったときに高杉と山縣が挨拶にいった話とかもありました。
奇兵隊に関するこういう日常的な話って、吉田にはたくさん伝わっていたんだろうなーと思います。そのうちの少しであっても、こうして文字になって残っているのは有り難いことです・・・。

ちなみに吉田の人たちからすると、四代目総督である山内梅三郎は自分たちの領主さまです。
そのお殿様よりも、高杉や山縣の名声のほうが遥かに大きいということに、複雑な思いを抱いていたことがわかるような記述もあり、興味深かったです。
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